シエラレオネの平均寿命は30代。
トイレがきちんとある国は世界の30%以下
2階に進むと、保健室が見えてきた。世界中では年間970万人もの子どもたちが、小学校に上がる前に死んでしまうという。たとえば、アフリカにある国シエラレオネでは、1000人赤ちゃんが生まれたら、そのうち270人以上が5歳の誕生日を迎えられない(ちなみに日本では4人)。その上、なんとか5歳になれたとしても、少年兵として戦場に駆り出されたり、学校に通えず字も読めないために騙されてしまったり、HIVエイズで苦しんだりしているのだ。ちなみにシエラレオネの平均寿命は30代! 30代と言えば、今の私たちじゃないか。80年もあると思い込んでる人生を、恋愛だ、仕事だ、夢だとのんきに生きてる自分には想像しがたい。「5歳まで生きられれば、未来がある」そんな林さんの言葉が印象的だった。
そのために必要なのは、まず栄養と衛生状態を良くすること。保健室には携帯式の体重計、ワクチンボックス、下痢の脱水症状を止めるORS(経口補水塩)などのさまざまなグッズが並ぶ。
林さんが赤い粒を手に乗せて見せてくれた。それはビタミンAのカプセル。

先端をぷちっとあけて飲む。中は濃いオレンジの液体。
林さん「これを年に2粒飲めば、失明が防げます。いくらすると思いますか」
編集部「普通のサプリとして考えたら数百円とか?」
林さん「実はこれ、2粒で5、6円なんです。たった5、6円で子どもの未来が救えます」
編集部「えぇぇ!」
そう、誰かの役に立つには、学校の一つでも建てなきゃだめかもと思い込んでいたあなた。コンビニでもらった数円のおつりを、気まぐれに入れてもどうせ大した役に立たないわ、と思い込んでいたあなた。実は、そのほんのわずかな金額でも誰かを失明から守ることができるかもしれないなんて。知らなかった……。
栄養を確保すると同時に大切なのが、衛生状態を良くすること。特に下水や飲み水の環境を整えることが子どもを守る上でとても重要になってくる。
突然だが、「メジナ虫」を知っているだろうか。こいつは、水に卵を産みつける寄生虫で非常に恐ろしい性質を持っている。どこかの水場に透明な卵を産み、水とともに人間の体内へ。1年くらいかけて細長く成長すると、おぞましいことに皮膚をつきやぶって出てくるのだ。怖すぎる……。足からメジナ虫が出てきてしまった子どもの写真を前に、固まる一同。「生水をこんなに怖いと思ったことはなかった……」というつぶやきに大きくうなずく以外なかった。
ということで、「水の安全は命の安全」を実感させるために、現地では、清潔な飲み水を確保する井戸と、トイレはセットで作るそうだ。そしてすみ分けの大切さをきちんと教えることも重要という。





