恋も仕事も旅することも、
思い込みに近いパワーに突き動かされてきた

自分のなかに「旅」が満ちてくる瞬間がある。唐突に、「お、行かなきゃ」という感じ。
しかもそれは、「南の島に行きたい」なんていう漠然としたものではなく、たいていの場合、ある特定の国や街などそのものずばりの場所の名前だ。あまりに具体的な名前が浮かんでくると、もうその場所のことが頭から離れなくなってしまう。そうすると不思議なもので、やがてその場所を最近訪れたというひとに出会ったり、テレビや雑誌でその場所を特集していたりということが立て続けにおきる。

直感か理屈かっていったら、たぶん自分は「直感8割、理屈は後付け」という感じで突っ走って生きてきたんだと思う。恋も仕事も旅することも、どちらかというと思い込みに近いパワーに突き動かされて、良くも悪くも、ときにものごとを強引に進めてきたのかもしれない。

大学生だったころ、初めてアフリカに行くきっかけをつかんだときは、まさにそうだった。たまたま用事があって訪れた長崎で、時間があるからとふらり足を踏み入れた古本屋で「アフリカ文学短編集」を手に取った。これが、初めてアフリカへのパッションを持ったひとつ目のきっかけ。その帰り道、飛行機の機内誌に掲載された南アフリカの特集に出会ったのがふたつ目だった。
その瞬間、たぶん自分の中ですでに持っていた何かの「想い」とその二つの要素がぱしっと結びついて化学反応を起こし、旅する直感がスパークした。わたしはアフリカに行く!と確信したのである。ここから、わたしのアフリカ・ライフは始まった。
色鮮やかな写真が美しいその機内誌の見開きページに載っていたのは、大きく誇らしげに咲く大輪の花キング・プロテアだった。南アフリカの国花である。

運命は、自分の求めるものと外界から近づくものの二つによって成り立っているという言葉を、わたしはいつも胸の中に持っている。
 旅する直感がスパークするのも、心の中に無意識であれ意識的であれ、「求めるアンテナ」があるからなんだろうなと漠然と思う。アフリカ・アンテナが立った瞬間、たくさんのアフリカのかけらが集まってくる。こうすべきなんじゃないかという決断の直感がめぐってくる。
 そうやってアンテナを張り巡らしておけば、旅する直感も恋する直感もしっかりキャッチして、自分の人生を、自分の行きたいところにもっていくことができる、のかもしれない。

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あふりかくじら /></dd>
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あふりかくじら
(アフリカ研究者)
深夜のラジオ的アフリカ物書き。大学在学時、南アフリカ出身の作家ベッシー・ヘッドの研究を始め、南アフリカ・ボツワナで調査を行う。
2001年より、飢餓や紛争、野生動物というステレオタイプにとらわれない「普通のアフリカ」を日本の人に知ってもらうきっかけを作るため、日本語メールマガジン『あふりかくじらの自由時間』を発行するとともに、ブログを開設している。
エディンバラ大学アフリカ研究センター修士課程修了後、コンベンション会社、開発コンサルタント勤務等を経て、2005年から2007年にかけ、ジンバブエにて政府機関に勤務。現在、開発コンサルタント所属。
ブログ:あふりかくじらの自由時間