飲んだりバイトするだけで“巻き込まれる”人。
そのネタ、売ってください。

酔っ払った深夜の帰り道。
あと少しで自宅というところで迫りくる睡魔。
たまらん、眠い。
ちょっとここで休もうと横になった限界地点。
何かにくるまったところから記憶がない。
驚いたよ、と彼は言う。
「目が覚めたら、高速道路を100キロで快走しとった」

トラックの荷台でビニールシートに包まれたまま
高円寺から埼玉方面へ運ばれた男。

● ●

上京して半年の友達からメールが届く。
「ごぶさた!(;^_^A
おかげさまで元気だよ♪近況だけでも報告しとくね」
その下に、1番から7番まで番号がふられた
個条書きの近況報告が続く。

「⑤バイト先の社長とセフレになりました。
 どSにハマってます o(;△;)o」

人生初チャレンジの(はず)セフレが第⑤位。
正社員採用で上京したのに、バイトする原因になった
会社の倒産と解雇の報告は第②位にあった。
さて、気になるトップ、第①報告は。
「①ユニコーンのライブ行ったよ!d=(´▽`)=b」

彼女も今年で34歳、覚醒しろ。

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笑わそうとしてないのに、面白い展開に巻き込まれる(巻き込まれてしまう)人たちがうらやましい。そのネタ、買えるものなら売ってけれ!と思ったこともあったけど、今はわたしも大人だ。うらやましくなんかない。

じゃあもし何でも買えるとしたら、身銭からいくらまで出せて、何を買いたいか。容姿、才能、運、人脈、買えるもんなら買いたい。でも、「完璧なプロポーション50万円」といわれてもたぶん買わない。わたしの欲しい「完璧なプロポーション」は50万円では安すぎるし、少ない貯金から50万円をそんなものに使うわけにはいかない。(どないやの)

自分の中の価値と出せる金額が合致する最もリアルなとこ、「学歴を5万円で」でどうだ。単なるブランドとしての学歴が5万円で手に入るなら買う。慶応、上智、青学あたりがいい。知らん、ただのイメージだ。今のライターとしての仕事に学歴のブランドはあまり意味がない。この先にもし企業の入社試験を受けることがあっても、年齢的に履歴書の学歴にはほとんど効力がないと思う。

しかし、使い道は考えてある。ひと仕事終えたあと、初めてチームを組んだ営業マンと飲み語らう。「しかし、いい原稿でした。もともと民俗学に傾倒はあったんですか」ええ少々、大学時代に。「失礼ですが、出身校はどちらでしたっけ?」わたしは5万円で買った大学名をひかえめな態度で言う。「あぁさすが。優秀ですね」そんなことはありません。そして、真顔でこう続けるのだ。——学歴なんて関係ないです。 超格好E!

買い物は、ときに生きざまを表す。
使用設定が最初から飲み屋というのも問題だが、結局、5万円で話のネタを買ってしまってるじゃないか。ばかばか!

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(フリーライター)
ライター。1975年生まれ、福岡市在住。制作会社、広告代理店等に勤務後、ライターとして独立。新聞、情報誌の広告・編集記事の取材執筆を中心に活動中。「A型ですか?」とよく聞かれるので、もう「よく分かりますね〜!」とこたえるB型。好きな言葉は『私は裏切らなかった。それでいいじゃないか。』