essay

L003
タナカ マリ(編集者&ライター)

仕事を辞めて中南米へ!
オンナ30、住んだ・旅した220日

思い立ったら、ラテン日和

コスタリカ生活、いよいよスタート。
まず何に驚いたって、ないのよ、アレが。


ビールの広告のおねーさんも、にっこり笑って「pura vida!」。

コスタリカでの生活が始まった。日本との時差15時間、地球儀を日本からちょうどぐるりと半周まわした、ほぼ真逆に位置する世界での生活だ。

コスタリカに着いた人がまず覚える言葉がある。それが「pura vida(プーラ・ヴィーダ)」。英語でいうと「pure life」、「混じりっけのない、きれいな生活」という意味合いだ。これはコスタリカのキャッチフレーズと言っても過言ではない、誰もが自然と口にするこの国独特の挨拶みたいなもの。たとえば友だちに「元気ぃ?」と挨拶されれば、「プーラ・ヴィーダ!」と返す。ニュアンスは、「いー調子だよ」「気楽に行こうぜ」とか、その場によって微妙に変わる。ハワイの「ハングルース」に近い、かな?

さて、私のpura vidaは、ホームステイ先のママの超早口&弾丸トークにたじたじすることから始まった。私にとっては、これが初めてのホームステイ体験。ホスト一家は、一度喋り出したらもう止まらない、超絶おしゃべりママと、おっとり定年退職パパのカップル。漫才の宮川大助&花子がそのまんまスペイン語喋っていると思ってください。

家族以外にも、私のようにステイしていたドイツ人やカナダ人が数名。コスタリカには、想像した以上に外国人留学(遊学?)生が大勢いる。だいたいが「1〜2週間ちょっとスペイン語かじってー、カリブ海で泳いで帰るのー」という短期滞在型。幸いにも私のステイ先には長期滞在派が多く、おかげで後々まで仲良くできることになった……のだけれど、それは言葉が多少でも喋れるようになる、もっと後の話。

到着早々、私の生活の中心になったのはスペイン語学校での授業だった。スペイン語を公用語とするコスタリカでは、当然ながらそれを解さないと日々の生活にメチャクチャ支障がでる(まあそれを勉強するために来たんだけどさ)。というわけで毎日5時間、ほぼ理解不能なスペイン語でスペイン語を学ぶ、という、おそらく私の人生至上最高に脳みそをアクロバティックにフル稼働させる日々が始まったわけです。

しっかし学生気分に戻るなんて、何年ぶりのことだろう。最初のうちは、それが新鮮で仕方なかった。だってさー、仕事しなくていいんだよー。好きで選んだ勉強だけしてりゃ毎日まわるんだよー。打ち合わせとか締切とか責任とか経費の計算とかが(私には)ない世界。これってすごいことだ。こういう驚きも、シャカイ人を一応やってきたから味わえるのかもしれないけれど。

さて、そんな超個人的な驚きだけではなく、日々の生活に慣れていく中で遭遇したコスタリカ的カルチャーショック、というものも、やはりいくつかありまして。なかでも斬新度ナンバーワンだったのは、「街の住所がない」ということだろう。いや、正確には住所らしきものはあるの。でも番地が整備されていない、というかほぼ存在していない。

一度、日本大使館に電話をかけて「一応住所を教えてください」と聞いたとき、返って来たのは「んーと、○○地区を300m東に行ってから25m北に行って……」という、「これボーイスカウトの訓練か何か?」的な住所。でも、これがフツーの正式な住所なのだ。

なぜ街の区画に番地を振らないのかは、わからない(面倒臭いの?)。後になってコスタリカ人の友だちから聞いたことには、「昔はどこそこのマンゴーの木から100m、なんて住所もあってさー、その木が切り倒されちゃったらわかんないよね、あっはっはー!」ほんと困っちゃうよねぇ、アハハハ……。

まあこんな一面は、私たちが想像する、いかにも「ラテン=陽気かつ大ざっぱ」のイメージにぴったりなんだろう。もちろん、実際はそんな部分だけじゃないとは思う。話していても、あらー意外にシャイなのね、てな人も多数存在する。

でもとにかく、もともと細かいことを気にしない(良くも悪くも、ね)性格の私には、この何かが少ーしヌケた空気は絶妙な心地よさ、まさに水を得た魚だぜ、とばかりに、あっという間に馴染んでいったのでありました。


地元の国立大学でも、外国人向けのスペイン語クラスが受けられる。これはその授業が行われた文学部の校舎。カラフルすぎだから。

¡ Pura vida,mae!
「調子よくいこうぜぃ!」

profile
タナカ マリ
タナカ マリ
(編集者&ライター)
広告やWebコンテンツ制作の世界で、企画・編集・執筆等の仕事を続けて早8年。30代に突入したわりにはあり余る体力を、趣味のバイク、ランニング、サルサダンスで燃焼中。2008年、仕事を一時中断してスペイン語を学ぶため中米コスタリカに約半年滞在。「人生やったもん勝ち」を代々の家訓として掲げることを目論む今日この頃。
back number
思い立ったら、ラテン日和
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「心のドキドキ」に従ったら、日本の反対側に飛んでいた。でも大丈夫、そんなの誰にでもできるから。
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L002
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L003
コスタリカ生活、いよいよスタート。
まず何に驚いたって、ないのよ、アレが。
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ラテン的世界から見た
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[最終回]
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