私のてのひらには“浪費家”の線がある。
薬指の付け根に縦にシュッと走った何本かのシワがそれだ。


そのせいかどうかは不明だが、浪費家とまではいかなくとも、私は確かに計画的にお金を使ったり貯めたりするのが昔から苦手なのだった。


あればあるだけ使いたい。
今すぐ、欲しい。
ウキウキした気分を家に持って帰りたい。


ついついそんな“気分”で買い物をしては、「いずれ必要だった」「どうせ買わなければならないなら早いうちに」なんて都合のよい言い訳をひねり出す。
月末には決まって預金残高に青ざめ「使いすぎた!」と反省。急に財布の紐をガチガチに締めて口を閉ざす姿、貝のごとし。


私の金銭感覚はまさに「感覚」だ。どんぶり勘定であいまいすぎる。今までは幸い借金もせずになんとかなってきた。けれど、急に入院することになんてなったら今の私じゃ完全にアウトだろう。そんな漠然とした不安が頭の隅っこからなくならない上に、毎日の「節約しなきゃ」という強迫観念が新たなストレスに……。


いいかげんなんとかしなくちゃ。
そう思ったときに目に飛び込んできたのが本書だ。


3800人もの借金家計を貯金体質へと再生させてきた著者のアイデアは、小手先だけのテクニックにとどまらない。消費、浪費、投資の違いを認識させ、具体的な貯金プログラムを実践しながら「数字で自分をコントロールする力」を養うプログラムが紹介されている。


筆者いわく、「お金の使い方はその人の生き方そのもの」。手相を見るより簡単に性格診断できるらしい。なるほど、一理ありそうだ。


お金がコントロールできないということは、自分をコントロールできていないということ。金に振り回されずにいかに使いこなすか。「お金」を「時間」に置き換えてみても、本書から学べることは多い気がした。


早速次の給料日から実践開始を決意! 
ご一緒にいかが?


貯金生活宣言

貯金生活宣言(書籍)
著者:横山光昭
出版社:ディスカバー・トゥエンティワン
ISBN-10:4887597045
ISBN-13:978-4887597044
発売日: 2009/04/15
価格:1,260円(税込)

衝動買いに伸ばした手を自分の胸に当ててみると、発見だらけでおもしろい。


次に手に取ったのは、30歳の青年僧侶が記した仏道書。
“欲望”や“煩悩”という言葉が気になったのだ。


ゆるい4コマ漫画とともに同年代のお坊さんの言葉で説かれる仏教の教えは、いちいちうなずきたくなる発見ばかり。煩悩=欲望のことかと思っていたんだけど、煩悩とは「煩わしい悩み」つまり“ストレス”だと言われて目から鱗が!


そのストレスの元凶が欲・怒り・迷いの“三毒”で、人間が苦しいと感じる出来事は自分に巣食うこの三毒によって作り出される。そして毒を薄める努力しない限り、自分の中で増殖し続けることになるのだ。


嘘をつくことも、自分を良く見せようとすることも、目の前の事実に集中せずに脳内物語へ逃避しようとすることも、後で必ず自分を苦しめるストレスになる毒=悪。つまり、善とはハッピー、悪とはアンハッピー。とてもシンプルだ。


そんな仏教の視点から「衝動買い」を考えてみると、衝動買いでストレス発散したように思えて、実は苦を増幅させている「悪行」ということになるらしい。


「“ストレス解消”とは、苦=ストレスの上に新しい刺激を強引にかぶせることによってストレスを抑圧しているだけ」。ストレスの原因を明らめようとせずに、臭いものにフタをしても毒は抜けないからだ。大切なのは、ストレスの元を断つことにほかならない。


買い物から見えてきた意外な真実。
明日から財布を取り出す気分も違うものになりそうだ。


煩悩リセット稽古帖

煩悩リセット稽古帖(書籍)
著者:小池龍之介
出版社:角川グループパブリッシング
ISBN-10:4043878028
ISBN-13:978-4043878024
発売日: 2008/12/25
価格:580円(税込)
profile
まつざき みわこ
まつざき みわこ
(complex gala.編集長)
「ソフト面」の編集を担当するフリーライター。エンタメ系から小難しい系までいける理論派だが、感情が先走るクセがあり、時折フリーズする。必殺技はベリーダンスだが恥ずかしがって披露しないという、これまたアンビバレンスな彼女である。
ブログ:虹色玉虫